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契約書

2022.10.19

第4回 意思表示が合致するということ

 

言うは易く行うは難し

 前回のコラムで、「言った」「言わない」の揉め事を回避するために、何を「言って」何を「言わない」のか、契約書に書いておくことをオススメしましたが、言うは易く行うは難し。
 いざ、パソコンに向かって文字を入力し始めたら、なにを言ったっけ?あーそうそう、あれは言ったこれは言った…とふんわりした感じで契約書の空欄が埋まっていき、先だっての交渉も合意もどこへやら。
 読み返してみたけれども、本当にこれで良いのか全く自信がない…という現象に陥ってしまったことはないでしょうか。
 

この現象に陥らないためにはどうしたら良いのか…

 私は、継続的な業務として、年間300件ほどの契約書レビューを受注しています。そのほとんどが、業務担当者が自社のひな型で作成した会社間の業務発注に関するものです。
 レビューの依頼があり、業務開始後、まず私が行うこと。それは、“この契約書を作成した人の、カウンターパートの人になって、契約書を読んでみる”…実は、これが、契約書をふんわりとした感じにしないための方法なのです。

 当たり前のことなので仕方ないのですが、人は、無意識に自分の気持ちを優先してしまいがちです。契約書を書く時も、自分の気持ちに記憶が操作されて、相手が「言った」ことを“自分の気持ち”で塗り替えてしまうことが多く、つまり、「こう言ってくれたらいいなー」が「こう言ったよ!そうだった!!」になってしまう罠…。
 そこで、自分が“カウンターパートの○○さん”になって、契約書を読み返してみるのです。○○さんは、この契約書を見てどう思うだろう…違和感はないか、不満に思うことはないか、ひとつひとつ検証していく…。
 この作業によって、契約書に潜む「罠」をていねいに除去していくことができるのです。
 

一手間かけることで契約書をブラッシュアップ!!

 
 「相手の立場になって読み返してみる」という一手間で、相手が何を合意したのか、自分が何を合意したのかを思い出し、ふんわりとした部分をクリアにすることが可能になります。
 相手の立場になってみるって…契約書を想像で作ってもいいの?!と不思議に思う方もいらっしゃると思いますが、相手と合意した上で、相手の立場を想像するのは、「思いやり」であり「リスペクト」なのです。○○さんも社内で大変なんですねー…なんて、カウンターパートの人の愚痴を聞きつつ打ち合わせをしていること、けっこうありませんか?そういった話を聞きつつ業務の発注をしているのですから、想像でも妄想でもなく、○○さんの立場で考えることはできるのではないかと思います。
 
 これは受注する側も同じです。相手の立場になって届いた契約書を読んでみると、発注側の考え方がわかり、思いもよらないリスクが見つかる可能性があります。

  * * *

 さて、抽象的な話はこのくらいにして、次回から、“実践的な”話を書いてみようと思います!!
 

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