お仕事
えろう怒ったんや！
文化庁著作権課で働き始めた頃のことです。
隣の席の人に、「昔、プラーゲいう人がおってな、えろう怒ったんや。」と突然話しかけられました。手には１冊の本。『プラーゲ旋風』と書いてあるその表紙には、外国人とおぼしきおじさんの、大きな顔写真がありました。体を斜めにして座り、若干ムスッとした表情をしていました。
隣の席の人がやおらプラーゲの話をしてきた理由…もしかして、著作権法に興味を持ってもらいたいのかなぁ～と思い、本を手に取り、このおじさんがなぜ怒ったのか、想像してみました。
想像していたら、急に似顔絵が描きたくなり、メモ帳に鉛筆でサササッと描いてみたところ、ちょっと上手に描けたので、机の上の方に貼っておきました。
貼っていたところ、「今どきプラーゲの似顔絵を描くなんて！」と言う賞賛の声が一部から上がったとかで、そのうちこの絵をどこかで使おう、みたいな話が出たとか…。
著作権法施行100年を祝う記念式典
1999年、ついにその時が訪れました。
著作権法施行100年を祝う記念式典のために作られた『著作権法百年歴史年表』。そこに、似顔絵が掲載されたのです。
同冊子をお持ちの方は、10ページをご覧ください。右上に小さく、怒ったプラーゲ博士の絵があると思います。
…持っていない方も見たいと思うので、思い切って下に引用します！
『著作権法百年歴史年表』（平成11年7月22日発行）
著作・発行 著作権法百年記念会 監修 文化庁
1996年の著作権課にパソコンは2台しかありませんでした。課内２0人ぐらいで２台です。交代で使って、後はワープロです。
「プラーゲ？誰？」と思ったら、本を読むか人に聞くか想像するかしかありませんでした。そして、本を読んだり人に聞いたり想像したりしながら、プラーゲのせいで、もとい、おかげで、仲介業務法ができたとか、JASRACができたとか、知ることになりました。
プラーゲについて尋ねたところ、嬉々として、桃中軒雲右衛門事件を語り出した人もいました。そこで、次は雲右衛門の似顔絵を描こうと思い、写真を探しましたが見つからず、想像も広がらなかったので断念。懐かしい思い出です。
